「EXHAUST PIPE」「A.C. GENERATOR BRACKET」と部品名だけ言われても、 車のどこにある何なのか分からない——という人のための図解マニュアル。 赤く塗った部分がその部品、灰色は周りの車体。実車の写真がある部位は写真も並べてある。 画像はタップで拡大。
赤=いま説明している部品/灰色=それ以外(車体・エンジン本体など)。 車体が透けている図は「車の外から見たらどのへんにあるか」、 エンジンだけの図は「エンジンのどの面に付いているか」を表している。
図は構造を理解するためのイラストで、実車と細部の形は異なる。 実際の部品番号と正確な形状は パーツ・工具・工程の分解図を、 作業手順は換装手順書を見ること。
シティはエンジンを横向きに積んだ前輪駆動。ボンネットを開けると、 運転席から見て手前(前側)にエンジン本体、その奥(右側)にミッションが横に並んでいる。 排気はエンジンの後ろ側から出て床下を通り、後輪の手前のマフラーを経て車体後端へ抜ける。
新人がまず覚えること: 「前から見て左がエンジン、右がミッション」。 この向きが頭に入っていないと、図面を見ても左右が分からなくなる。

ここが今回いちばん重要な結論。カタログを突き合わせた結果、 マウントの部品はカブリオレとターボIIで完全に同一だった。 つまりエンジンを受け止める車体側の穴・ブラケットがそのまま使える—— フレームを切ったり穴を開け直したりする必要がない。
作業のポイント: ゴム部分は40年で必ず潰れている。 エンジンを降ろしている今しか交換できないので、状態を見て迷ったら替える。

カブリオレ(NA)とターボIIでは部品を1つも共有していない。 ターボは排気の量も温度も違うため、パイプの太さも取り回しも別設計になっている。
作業のポイント: 部分的に流用しようとせず、ドナー車から一式そのまま外して持ってくる。 ボルトは40年分の錆で固着しているので、潤滑剤を吹いて時間を置いてから緩める。

ここも共通部品ゼロ。ターボは点火時期の制御が違うため、コイルもその周辺も別物になっている。
作業のポイント: バッテリーを外すときは必ずマイナス端子から。 プラスから外すと工具が車体に触れた瞬間にショートする。付けるときは逆で、プラスが先。

ターボはタービンにもエンジンオイルを送るため、オイルの流れる経路そのものが違う。 結果としてフィルター周りの部品構成もカブリオレとは別物になっている。
作業のポイント: フィルターは手で回して外れるが、40年物は固着していることがある。 フィルターレンチを1つ用意しておく。組むときはゴムパッキンに新油を薄く塗ってから手締め。
ターボはエンジンの補機の配置が変わるため、発電機を留める金具ごと設計が違う。 ブラケットだけ流用しようとしても穴位置が合わない。
作業のポイント: オルタネーター本体とブラケットはセットでドナー車から外す。 ベルトの張り具合は「指で押して1cm弱たわむ」が目安。張りすぎるとベアリングを壊す。
エンジンとミッションを繋ぐ最重要部品でありながら、カブリオレとターボIIで共通部品がゼロ。 ターボ用のエンジンに合わせて設計が違うので、必ずターボII側のものを使う。
作業のポイント: ここを開けたときがクラッチ3点(ディスク・カバー・レリーズベアリング)を交換する唯一のチャンス。 載せてしまうと、また全部降ろさないと交換できない。中古を使い回さず必ず新品にする。
世界中の先人が「ここが一番ハマる」と口を揃える工程。 カタログ上でもターボII専用のクリップだけで154点、ハーネス本体で29点あり、差が非常に大きい。
作業のポイント(最重要): ①外す前に必ず全経路を写真に撮る。どこを通ってどこで留まっていたかは、外した後では絶対に分からない。 ②コネクタ1個ごとにマスキングテープを貼って行き先を書く。 ③配線を切らない。切ると復元できない。コネクタを抜いて引き抜く。
実際にあった失敗: 先人の記録では、カブリオレとターボIIでコネクタの配線の色が違っていて、 燃料ポンプが動かない原因の特定に丸一日かかっている。色を信用せず、配線図で確認すること。


カブリオレはキャブレター(低圧)、ターボIIはPGM-FI(高圧噴射)。 この違いが配管の本数に出る——カブリオレは2本、ターボIIは3本(送り・戻り・キャニスター)。 つまり足りない1本を新たに通す必要がある。
作業のポイント: 配管は室内の床下を這っているので、内装を剥がした状態でしか作業できない。 しかも車体の下と車内から手を伸ばす必要があり、1人では無理。2人でやる工程。
絶対にやってはいけないこと: キャブ用の柔らかい低圧ホースを流用すること。 PGM-FIの圧力に耐えられず滲み、エンジンルームでのガソリン漏れ=車両火災に直結する。 燃料系だけは必ず耐圧の新品を使う。
排気の勢いでタービンを回し、その軸で反対側のコンプレッサーを回して空気を押し込む装置。 これが付くことで67馬力→110馬力になる。
作業のポイント: オイルの2本の管が生命線。 供給側が詰まれば焼き付き、戻り側が詰まればオイル漏れを起こす。 繋ぎ目の銅ワッシャー(シーリングワッシャー)は再使用せず必ず新品にする。
初始動時の鉄則: いきなりエンジンをかけない。 プラグを抜いた状態でセルを回し、油圧警告灯が消えるまで空回しして、先にタービンへオイルを回す。 これを省くと一発でタービンを壊す。
ターボIIの外観上の特徴でもある部品。ボンネットのふくらみ(パワーバルジ)はこれを避けるためにある。
作業のポイント: 先人の記録で「ラジエターのフィラーキャップと干渉して付かない」問題が起きている。 搭載前に現物を合わせて、当たる場合はラジエター側かICのステー側を調整する。

吸排気バルブの開閉タイミングを機械的に同期させている部品。 これが切れるとバルブとピストンが衝突してエンジンが壊れる。
作業のポイント: 長期保管のエンジンはゴムが硬化しているので問答無用で交換。 テンショナーとウォーターポンプも同時に外れる位置にあるので3点セットで替えるのが鉄則 (後から替えると、また同じ場所を全部バラすことになる)。
注意: 純正のタイミングベルトはすでに廃番でホンダから買えない。 現物の歯数・幅を実測して、社外品(ゲイツ・三ツ星・バンドー等)から適合するものを探す必要がある。
① 外す前に写真を撮る。「どこに何がどう付いていたか」は外した瞬間に分からなくなる。 全景 → 部分 → 接続部、の順で撮っておけば必ず助かる。
② ボルトは場所ごとに袋に分けてラベルを貼る。 このエンジンは同じ見た目で長さの違うボルトが多い。混ぜたら組付けで必ず詰まる。
③ 分からないまま力をかけない。40年前の部品は錆で固着している一方、 アルミやゴムの部品は簡単に割れる。迷ったら手を止めて確認する。