Beginner's Visual Guide — Where Is What

部品はどこにある

「EXHAUST PIPE」「A.C. GENERATOR BRACKET」と部品名だけ言われても、 車のどこにある何なのか分からない——という人のための図解マニュアル赤く塗った部分がその部品、灰色は周りの車体。実車の写真がある部位は写真も並べてある。 画像はタップで拡大。

共通・加工不要カブリオレとターボIIで同じ部品 共通部品ゼロ丸ごと移植が必要 要注意失敗しやすい・壊しやすい

この図の見方

赤=いま説明している部品/灰色=それ以外(車体・エンジン本体など)。 車体が透けている図は「車の外から見たらどのへんにあるか」、 エンジンだけの図は「エンジンのどの面に付いているか」を表している。

図は構造を理解するためのイラストで、実車と細部の形は異なる。 実際の部品番号と正確な形状は パーツ・工具・工程の分解図を、 作業手順は換装手順書を見ること。

01

まず全体像をつかむWHERE EVERYTHING SITS

全体像
まず全体像をつかむの位置図
どこにある?車体を透かして見た図。赤が今回いじる範囲——前方に横置きされたエンジンと5速ミッション、そこから床下を通って後ろへ抜ける排気系。

シティはエンジンを横向きに積んだ前輪駆動。ボンネットを開けると、 運転席から見て手前(前側)にエンジン本体その奥(右側)にミッションが横に並んでいる。 排気はエンジンの後ろ側から出て床下を通り、後輪の手前のマフラーを経て車体後端へ抜ける。

新人がまず覚えること: 「前から見て左がエンジン、右がミッション」。 この向きが頭に入っていないと、図面を見ても左右が分からなくなる。

実車の写真
実車のエンジンルーム。金色の箱が「HONDA」インタークーラー、その下の赤いヘッドカバーが「COMPAX TURBO」、左上の赤い箱が PGM-FI。これが載せ替えのゴール
02

エンジンマウントENGINE MOUNT ─ 共通部品・加工不要

共通・加工不要
エンジンマウントの位置図
どこにある?エンジンとミッションを車体に固定するゴム付きの3点。右上=エンジン側マウント、左=ミッション側マウント、下=トルクロッド。

ここが今回いちばん重要な結論。カタログを突き合わせた結果、 マウントの部品はカブリオレとターボIIで完全に同一だった。 つまりエンジンを受け止める車体側の穴・ブラケットがそのまま使える—— フレームを切ったり穴を開け直したりする必要がない。

作業のポイント: ゴム部分は40年で必ず潰れている。 エンジンを降ろしている今しか交換できないので、状態を見て迷ったら替える。

実車の写真
実物のトルクロッド・インシュレーター(ゴムブッシュ)。上が劣化して潰れた旧品、下が新品。緑の線の高さの差が「へたり」
03

排気系(マフラー)EXHAUST ─ 共通部品ゼロ・丸ごと移植

共通部品ゼロ
排気系(マフラー)の位置図
どこにある?エンジン後方から車体後端まで、床下を1本で貫いているのが排気系。前から順に、エキマニ→ダウンパイプ→中間パイプ→マフラー(タイコ)→テールパイプ。

カブリオレ(NA)とターボIIでは部品を1つも共有していない。 ターボは排気の量も温度も違うため、パイプの太さも取り回しも別設計になっている。

作業のポイント: 部分的に流用しようとせず、ドナー車から一式そのまま外して持ってくる。 ボルトは40年分の錆で固着しているので、潤滑剤を吹いて時間を置いてから緩める。

実車の写真
実物のマフラー接合部。差し込んでバンドで留める構造。この継ぎ目から排気が漏れやすい
04

点火系(コイル・バッテリー)IGNITION COIL / BATTERY ─ 共通部品ゼロ

共通部品ゼロ
点火系(コイル・バッテリー)の位置図
どこにある?ボンネットを開けて右前(ヘッドライトの後ろあたり)。四角いバッテリーと、その隣の内側フェンダーに縦に付いた円筒形のイグニッションコイル。

ここも共通部品ゼロ。ターボは点火時期の制御が違うため、コイルもその周辺も別物になっている。

作業のポイント: バッテリーを外すときは必ずマイナス端子から。 プラスから外すと工具が車体に触れた瞬間にショートする。付けるときは逆で、プラスが先。

実車の写真
実車の右前フェンダー内側。右上に黒いバッテリー、赤いカバーの端子が見える。清掃前(左)と後(右)
05

オイルフィルター/レベルゲージOIL FILTER / LEVEL GAUGE ─ 共通部品ゼロ

共通部品ゼロ
オイルフィルター/レベルゲージの位置図
どこにある?エンジンブロックの横っ腹の下の方に付く円筒形の缶がオイルフィルター。その隣に、輪っかの持ち手が付いた細長い棒=オイルレベルゲージ(オイル量を測る棒)。

ターボはタービンにもエンジンオイルを送るため、オイルの流れる経路そのものが違う。 結果としてフィルター周りの部品構成もカブリオレとは別物になっている。

作業のポイント: フィルターは手で回して外れるが、40年物は固着していることがある。 フィルターレンチを1つ用意しておく。組むときはゴムパッキンに新油を薄く塗ってから手締め

06

ACジェネレーター・ブラケットA.C. GENERATOR BRACKET ─ 共通部品ゼロ

共通部品ゼロ
ACジェネレーター・ブラケットの位置図
どこにある?エンジンのベルトが掛かっている側。オルタネーター(発電機)を engine に留めている、赤く示した鋳物の腕がブラケット。下に伸びる細い腕でベルトの張りを調整する。

ターボはエンジンの補機の配置が変わるため、発電機を留める金具ごと設計が違う。 ブラケットだけ流用しようとしても穴位置が合わない。

作業のポイント: オルタネーター本体とブラケットはセットでドナー車から外す。 ベルトの張り具合は「指で押して1cm弱たわむ」が目安。張りすぎるとベアリングを壊す。

07

クラッチケース(ベルハウジング)CLUTCH CASE ─ 共通部品ゼロ

共通部品ゼロ
クラッチケース(ベルハウジング)の位置図
どこにある?エンジンとミッションの間に挟まっている、釣鐘型の大きなアルミの箱。中にクラッチとフライホイールが入っている。図では分かりやすいように3つを離してある。

エンジンとミッションを繋ぐ最重要部品でありながら、カブリオレとターボIIで共通部品がゼロ。 ターボ用のエンジンに合わせて設計が違うので、必ずターボII側のものを使う。

作業のポイント: ここを開けたときがクラッチ3点(ディスク・カバー・レリーズベアリング)を交換する唯一のチャンス。 載せてしまうと、また全部降ろさないと交換できない。中古を使い回さず必ず新品にする。

08

ワイヤーハーネス(配線の束)WIRE HARNESS ─ 最難関

共通部品ゼロ
ワイヤーハーネス(配線の束)の位置図
どこにある?室内のヒューズボックスから壁を貫通し、フェンダーの内側を通ってエンジンルーム中に枝分かれしている配線の束。先端のコネクタが各部品に刺さる。小さなクリップで車体に留まっている。

世界中の先人が「ここが一番ハマる」と口を揃える工程。 カタログ上でもターボII専用のクリップだけで154点、ハーネス本体で29点あり、差が非常に大きい。

作業のポイント(最重要): ①外す前に必ず全経路を写真に撮る。どこを通ってどこで留まっていたかは、外した後では絶対に分からない。 ②コネクタ1個ごとにマスキングテープを貼って行き先を書く。 ③配線を切らない。切ると復元できない。コネクタを抜いて引き抜く。

実際にあった失敗: 先人の記録では、カブリオレとターボIIでコネクタの配線の色が違っていて、 燃料ポンプが動かない原因の特定に丸一日かかっている。色を信用せず、配線図で確認すること。

実車の写真
実車のフェンダー内の配線。この束を1本ずつたどって整理していく
室内の床下を通る配線。内装を剥がすと現れる。燃料ポンプ用の配線もここを通る
09

燃料系(タンク・ポンプ・配管)FUEL SYSTEM ─ 今回最大の造作

要注意
燃料系(タンク・ポンプ・配管)の位置図
どこにある?後席の下あたりに燃料タンク、その脇に電磁ポンプ。そこから床下を通る細いパイプが前方のエンジンまで伸びる。

カブリオレはキャブレター(低圧)、ターボIIはPGM-FI(高圧噴射)。 この違いが配管の本数に出る——カブリオレは2本、ターボIIは3本(送り・戻り・キャニスター)。 つまり足りない1本を新たに通す必要がある

作業のポイント: 配管は室内の床下を這っているので、内装を剥がした状態でしか作業できない。 しかも車体の下と車内から手を伸ばす必要があり、1人では無理。2人でやる工程

絶対にやってはいけないこと: キャブ用の柔らかい低圧ホースを流用すること。 PGM-FIの圧力に耐えられず滲み、エンジンルームでのガソリン漏れ=車両火災に直結する。 燃料系だけは必ず耐圧の新品を使う。

10

ターボチャージャーTURBOCHARGER ─ 心臓部

要注意
ターボチャージャーの位置図
どこにある?エンジンの後ろ側、エキゾーストマニホールドの先に付くカタツムリ型の部品。上から細いオイル供給の管が来て、下から太いオイル戻りの管がエンジンへ落ちている。

排気の勢いでタービンを回し、その軸で反対側のコンプレッサーを回して空気を押し込む装置。 これが付くことで67馬力→110馬力になる。

作業のポイント: オイルの2本の管が生命線。 供給側が詰まれば焼き付き、戻り側が詰まればオイル漏れを起こす。 繋ぎ目の銅ワッシャー(シーリングワッシャー)は再使用せず必ず新品にする。

初始動時の鉄則: いきなりエンジンをかけない。 プラグを抜いた状態でセルを回し、油圧警告灯が消えるまで空回しして、先にタービンへオイルを回す。 これを省くと一発でタービンを壊す。

11

インタークーラーINTERCOOLER ─ 干渉に注意

要注意
インタークーラーの位置図
どこにある?エンジンの真上に載る、フィンの付いた四角い箱。ターボで圧縮されて熱くなった空気を冷ましてからエンジンに入れる。左右の太いパイプでタービンとエンジンを繋ぐ。

ターボIIの外観上の特徴でもある部品。ボンネットのふくらみ(パワーバルジ)はこれを避けるためにある。

作業のポイント: 先人の記録で「ラジエターのフィラーキャップと干渉して付かない」問題が起きている。 搭載前に現物を合わせて、当たる場合はラジエター側かICのステー側を調整する。

実車の写真
実車のインタークーラー。「HONDA」と刻まれた金色の箱がそれ。実物は本体がアルミ地で、上から見るとエンジンをほぼ覆っている
12

タイミングベルトTIMING BELT ─ 切れたら全損

要注意
タイミングベルトの位置図
どこにある?エンジンの横っ面のカバーを外したところ。上の大きな歯車(カムシャフト)と下の小さな歯車(クランクシャフト)を繋ぐギザギザのゴムベルト。左の丸いのが張りを保つテンショナー。

吸排気バルブの開閉タイミングを機械的に同期させている部品。 これが切れるとバルブとピストンが衝突してエンジンが壊れる。

作業のポイント: 長期保管のエンジンはゴムが硬化しているので問答無用で交換。 テンショナーとウォーターポンプも同時に外れる位置にあるので3点セットで替えるのが鉄則 (後から替えると、また同じ場所を全部バラすことになる)。

注意: 純正のタイミングベルトはすでに廃番でホンダから買えない。 現物の歯数・幅を実測して、社外品(ゲイツ・三ツ星・バンドー等)から適合するものを探す必要がある。

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作業前に必ず読むことBEFORE YOU START

新人が守る3つのルール

① 外す前に写真を撮る。「どこに何がどう付いていたか」は外した瞬間に分からなくなる。 全景 → 部分 → 接続部、の順で撮っておけば必ず助かる。

② ボルトは場所ごとに袋に分けてラベルを貼る。 このエンジンは同じ見た目で長さの違うボルトが多い。混ぜたら組付けで必ず詰まる。

③ 分からないまま力をかけない。40年前の部品は錆で固着している一方、 アルミやゴムの部品は簡単に割れる。迷ったら手を止めて確認する。